理系のブログ

バーゼル問題を高校数学で解いてみた。

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$$1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots=\frac{π^2}{6}$$

バーゼル問題とゼータ関数

バーゼル問題を理解するに当たって、リーマン・ゼータ関数について少し触れておこうかと思います。

$$f(x)=\frac{1}{1^x}+\frac{1}{2^x}+\frac{1}{3^x}+\frac{1}{4^x}+\cdots$$

この関数$f(x)$がゼータ関数と呼ばれるものです。リーマン予想で出てくるやつですね。(一般的には$ζ(s)$という表記をします。)

バーゼル問題とは$x=2$のとき、つまり$f(2)$を求めてみようというものです。

したがって、次の式の値を求めることになります。

$$\frac{1}{1^2}+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots=?$$

$sinx$を2方面から見る

バーゼル問題を解くには、$sinx$を2つの方向から見る必要があります。

sinxをテイラー展開

1つ目は$sinx$を$x=0$でテイラー展開(マクローリン展開)してみます。

$$sinx=x-\frac{1}{3!}x^3+\frac{1}{5!}x^5-\frac{1}{7!}x^7+\cdots$$

テイラー展開とは、関数を簡単な$x$の多項式として見てみよう!みたいなやつです…

$sinx$のテイラー展開についてはこちらの記事を御覧ください。

$sinx$を因数分解

2つ目は$sinx$を因数分解してみましょう。

ほぇ?$sinx$を因数分解?と思うかもしれません。まずは簡単な因数分解をみてみましょう。

$$g(x)=2x^2+2x-24=2(x-3)(x+4)$$

この式をみて分かる通り、関数$g(x)$は$g(x)=0$の解である3と-4を使って因数分解されます。

$k(x)=0$の解が$α,β,γ$なら、

$$k(x)=a(x-α)(x-β)(x-γ)$$

と因数分解される。($a$は定数)

では$sinx$の場合はどうでしょう。

$sinx=0$の解は$0,π,-π,2π,-2π,\cdots$なので、

$$sinx=ax(x-π)(x+π)(x-2π)(x+2π)\cdots$$

と因数分解されるはずです。ここでは少し小細工を施して、全てのかっこそれぞれを$nπ$で括ってみましょう。

$$=axπ\left(\frac{x}{π}-1\right)π\left(\frac{x}{π}+1\right)2π\left(\frac{x}{2π}-1\right)2π\left(\frac{x}{2π}+1\right)\cdots$$

$a,π,π,2π,2π\cdots$の部分を新たに定数$A$とすると

$$=Ax\left(\frac{x}{π}-1\right)\left(\frac{x}{π}+1\right)\left(\frac{x}{2π}-1\right)\left(\frac{x}{2π}+1\right)\cdots$$

また、それぞれ和と差の積が存在するので

$$=Ax\left(\frac{x^2}{π^2}-1\right)\left(\frac{x^2}{2^2π^2}-1\right)\left(\frac{x^2}{3^2π^2}-1\right)\cdots$$

ここで、$x$の係数についてテイラー展開した方と比較してみると、

$A=1$であり、かっこの数は偶数個であることがわかります。

$x^3$の係数を比較

ここで、今見てきた2つの$sinx$の$x^3$の係数を比較して見ましょう。

$$sinx=x-\frac{1}{3!}x^3+\frac{1}{5!}x^5-\frac{1}{7!}x^7+\cdots$$

$$sinx=x\left(\frac{x^2}{π^2}-1\right)\left(\frac{x^2}{2^2π^2}-1\right)\left(\frac{x^2}{3^2π^2}-1\right)\cdots$$

テイラー展開の方はそのまま$-\frac{1}{3!}$で大丈夫ですね。

因数分解の方はどうでしょう。$x^3$を作るには二項定理と似たような感じで、$x^3$ができるように注意しながらそれぞれのかっこからどちらかを選んでかけていきます。

よって$x^3$の係数は$-(\frac{1}{π^2}+\frac{1}{2^2π^2}+\frac{1}{3^2π^2}+\cdots)$

$\frac{1}{π^2}$でくくっておけば$-\frac{1}{π^2}(1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots)$ですね。

以上より次の式が成り立つことになります。

$$-\frac{1}{3!}=-\frac{1}{π^2}\left(1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots\right)$$

さぁようやくゴールが見えてきました。あとはこの式を整理するだけですね。

$$1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots=\frac{π^2}{6}$$

以上、今回は有名なバーゼル問題を高校数学を使って感覚的に理解してみようというお話でした。

この記事の執筆者
理系さん

理系の現役京大生。
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