点推定とは?
点推定とは母集団の平均$\mu$や分散$\sigma ^2$などを値で推定することです。
「ズバリ、母集団の平均は56点でしょう!」といった推定になります。
平均値の点推定
母集団から$\{X_1,X_2,X_3,\cdots ,X_n\}$というn個の標本(サンプル)をとってきたとしましょう。
母集団の平均値$\mu$は次の標本平均$\bar X$で推定推定することができます。
$$\bar X = \frac{X_1+X_2+X_3+\cdots +X_n}{n}$$
分散の点推定
少し注意すべきなのは分散の点推定です。
母集団の分散$\sigma ^2$は次の標本分散$S^2$では推定できません。
$$S^2=\frac{(X_1-\bar X)^2+(X_2-\bar X)^2+\cdots (X_n-\bar X)^2}{n}$$
これは母集団の平均値として真の平均$\mu$ではなくあくまで推定量である標本平均$\bar X$を用いているためです。(後述)
不偏分散
母集団の分散$\sigma ^2$の点推定には次のような不偏分散$U^2$を使います。
$$U^2=\frac{(X_1-\bar X)^2+(X_2-\bar X)^2+\cdots (X_n-\bar X)^2}{{\color{red}n-1}}$$
不偏分散では分母をnではなくn-1とします。
これは推定量に不偏性を持たせるためです。
推定量に望む性質
- 一致性:nが大きければ真の値に近づく
- 不偏性:期待値が真の値である
標本分散$S^2$はnを大きくしていけば母集団の分散$\sigma ^2$に近づくため一致性は持っています。
しかし$S^2$の期待値は計算してみると$\sigma ^2-\frac{1}{n}\sigma ^2$というように真の分散よよりも過小評価してしまっています。(実際の計算はこちら。)
イメージとしては標本分散では標本平均との差を考えるため、真の平均との差よりも過小評価してしまいます。(標本たちが自分らで作った平均だから自分らに近いのは当たり前)
これを改善したのが不偏分散になり、不偏分散は一致性も不偏性も持っています。
例題
母集団から10個の標本を取ってきたところ、次のような値であった。この時、母集団の平均値$\mu$と分散$\sigma ^2$を点推定せよ。
{57,46,73,29,49,63,38,58,80,76}
解答
平均値$\mu$は標本平均$\bar X$で推定することができる。
$$\bar X=\frac{57+46+73+29+49+63+38+58+80+76}{10}$$
$$=56.9$$
分散$\sigma ^2$は不偏分散$U^2$を使って推定する。
$$U^2=frac{(57-56.9)^2+(46-56.9)^2+(73-56.9)^2+(29-56.9)^2+(49-56.9)^2+(63-56.9)^2+(38-56.9)^2+(58-56.9)^2+(80-56.9)^2+(76-56.9)^2}{9}$$
$$=279.21$$
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