力学

運動量保存則とその条件

力学

運動量保存則

ある系に外力が働かないとき、その系の運動量$mv$の総和は一定である。

運動量とは?

物体の速度$\vec v$と質量$m$の積$m\vec v$を運動量と言います。

例えば2(kg)の物体が10(m/s)の速度で動いている場合、運動量は20(kg・m/s)となります。

運動量と力積の関係

なぜ$m\vec v$という量を考えるのかは、運動方程式から導出されます。

加速度$a$は速度$v$を時間$t$で微分したものなので$a=\frac{dv}{dt}$を用いると運動方程式は次のようにかけます。

$$m\frac{d\vec v}{dt}=\vec F$$

この両辺を$t$で積分すると、

$$\int m\frac{d\vec v}{dt}dt=\int \vec Fdt$$

$$\int md\vec v=\int \vec Fdt$$

$$\varDelta m\vec v=\int \vec Fdt$$

$m\vec v$を物体の運動量、$\int \vec Fdt$を物体に与えられた力積と呼びます。

運動量と力積の関係

$$\varDelta m\vec v=\int \vec Fdt$$

運動量保存則が適応される条件

運動量と力積の関係において、物体に力がかからない場合(F=0)を考えてみると右辺が0となるため、

$$\varDelta m\vec v=0$$

となり、運動量変化が0。つまり運動量が保存されるということになります。

運動量保存則が適応されるのはF=0の時。

物体が二つ以上ある場合も同様で、物体が二つある場合はその二つを一つの物体のように捉えます。(「系」と呼びます。)

これは特別なことではなく、一つの物体を扱う場合でも、本当は物体というのはたくさんの原子の集まりなわけで、それを”一つの物体”と呼ぶのと何ら変わりはないですね。

運動量保存則が適応されるのは外力FがF=0の時。

ここで注意すべきは運動量保存則が適応される条件は外力が0であればよく、内力(物体同士がおよぼしあう力)は0である必要はありません。

一つの物体でも、その物体を構成する原子同士はお互いに力を及ぼし合っていますが、その内力は無視して外から物体にかかる外力のみを考えるのと同じ感じです。

内力を無視していい理由

内力を無視して良い簡単な理由としては、物体同士の内力は作用・反作用の関係にあり、和が0になるためです。

物体が二つの場合を考えてみましょう。

物体Aと物体Bがあり、物体Aにかかる外力を$\vec F_A$、物体Bにかかる外力を$\vec F_B$、物体Bが物体Aに及ぼす力を$\vec F_{AB}$、物体Aが物体Bに及ぼす力を$\vec F_{BA}$としておくと、二つの物体の運動方程式は

  • $$m_A\frac{d\vec v_A}{dt}=\vec F_A+\vec F_{AB}$$
  • $$m_B\frac{d\vec v_B}{dt}=\vec F_B+\vec F_{BA}$$

ここで二つの式の和は

$$m_A\frac{d\vec v_A}{dt}+m_B\frac{d\vec v_B}{dt}=\vec F_A+\vec F_{AB}+\vec F_B+\vec F_{BA}$$

$\vec F_{AB}$と$\vec F_{BA}$は作用・反作用の関係で逆向き同じ大きさなので、$\vec F_{AB}$$\vec F_{BA}=0$を用いると、

$$m_A\frac{d\vec v_A}{dt}+m_B\frac{d\vec v_B}{dt}=\vec F_A+\vec F_B$$

外力を$\vec F_A+\vec F_B=\vec F$とまとめると、

$$m_A\frac{d\vec v_A}{dt}+m_B\frac{d\vec v_B}{dt}=\vec F$$

あとは両辺を$t$で積分すると、運動量の導出と同じ流れで

$$\varDelta m_A\vec v_A+\varDelta m_B\vec v_B=\int \vec Fdt$$

よって、外力Fが0であれば運動量の総和は保存されることになります。

この記事の執筆者
理系さん

理系の現役京大生。
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