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小学生でもわかるネイピア数e

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ネイピア数eの定義

ネイピア数eは次の式で表される数です。

ネイピア数

$$e=\lim_{h \to \infty}\left(1+\frac{1}{h}\right)^h$$

$\displaystyle \lim_{h \to \infty}$とは、「リミテーションhアプローチ∞」と読んで、簡単に言うとhを∞として考えてくださいという命令です。

つまりeの値は次のようにも表せます。(数学的に正しい表現では無いですが。)

$$e=\left(1+\frac{1}{\infty}\right)^\infty$$

1よりほんの少し大きい数を∞乗する

$1^\infty$は1であり、1より大きい数を∞乗すると∞、1より小さい数を∞乗すると0になります。

では、ほぼ1である数を∞乗するとどうなるでしょう?そこで出てくるのがネイピア数です。

つまり$\left(1+\frac{1}{\infty}\right)^\infty$とは「1に$\frac{1}{\infty}$(ほぼ0)を足した数を」∞乗しているわけです。

eとは、ほぼ1である数を∞乗した数

limの正しい意味

ここで、$\left(1+\frac{1}{\infty}\right)^\infty$という表記が数学的に正しくないというのは、そもそも「ほぼ1である数を∞した数」って何???ってなりますよね。

$\displaystyle \lim_{h \to \infty}$とは、正しくはhの値を∞に近づけるという命令です。

例えばh=100のときは、

$\left(1+\frac{1}{100}\right)^{100}=2.704813…$

h=1000のとき、

$\left(1+\frac{1}{1000}\right)^{1000}=2.716923…$

h=10000のとき、

$\left(1+\frac{1}{10000}\right)^{10000}=2.718145…$

という様に、hをどんどん大きくしていくと$\left(1+\frac{1}{h}\right)^h$は2.7182…というとある値に近づいていき、これがeの値になります。

$$e=\lim_{h \to \infty}\left(1+\frac{1}{h}\right)^h=2.718281…$$

1よりほんの少し小さい数を∞乗すると1/e

「1よりほんの少し大きい数を∞乗した数」というのがeだったわけですが、

「1よりほんの少し小さい数を∞乗した数」はどうなるのかというと、なんとeの逆数、$\frac{1}{e}$になります。

$$\lim_{h \to \infty}\left(1{\color{red}-} \frac{1}{h}\right)^h=\frac{1}{e}$$

証明

$$\lim_{h \to \infty}\left(1-\frac{1}{h}\right)^h$$

$$=\lim_{h \to \infty}\left(\frac{h-1}{h}\right)^h$$

$$=\lim_{h \to \infty}\frac{1}{\left(\frac{h}{h-1}\right)^h}$$

$$=\lim_{h \to \infty}\frac{1}{\left(1+\frac{1}{h-1}\right)^h}$$

$$=\lim_{h \to \infty}\frac{1}{\left(1+\frac{1}{h-1}\right)^{h-1}\cdot\left(1+\frac{1}{h-1}\right)}$$

ここでt=h-1とおくと、h→∞のときt→∞なので、

$$=\lim_{h \to \infty}\frac{1}{\left(1+\frac{1}{t}\right)^{t}\cdot\left(1+\frac{1}{t}\right)}$$

$$=\frac{1}{e \cdot 1}=\frac{1}{e}$$

なぜネイピア数eを考えるのか?

なぜこんなややこしい数を考えるのかというと、実はネイピア数eという数は自然界によく現れる数字なんです。

複利の計算で出てくるネイピア数e

例えばお金を借りた場合の単利と複利について考えてみましょう。

単利

単利とは、借りたお金(元本)に対してのみ利息をつけることを言います。

つまり年利100%で1円を借りたら一年後、利息は元本1円の100%で1円が加算されて2円の借金になります。

これは簡単ですね。

単利では元本のみに利息がつく。

半年ごとに契約するとどうなるか

単利のシステムでは普通借りた1円の元本のみに利息がつくので1円を1年間借りたら借金は合計2円ですが、一度契約を切って再契約をする場合は違います。

例えば1年の真ん中で契約を切って再契約し、合計で1年間借りた場合はどうなるでしょう。

再契約時には元本1円と半年分の利息0.5円の合計1.5円が新しい元本になりますので、次の半年は1.5円に対して利息が付きます。

すると1.5円を半年間借りることになるので、利息は1.5円の50%で0.75円となり、借金の合計は2.25円になります。

1年を4つに分けて契約すると

更に1年を4つに分けて、3ヶ月ごとに契約した場合はどうなるか考えてみます。

  • 最初の3ヶ月で1円に25%の0.25円の利息が付き、1.25円が新しい元本になります。
  • 次の3ヶ月で1.25円に25%の0.3125円の利息が付き、1.5625円が新しい元本になります。
  • 次の3ヶ月で1.5625円に25%の0.390625円の利息が付き、1.953125円が新しい元本になります。
  • 最後の3ヶ月で1.953125円に25%の0.48828125円の利息が付き、2.44140625円が借金の合計になります。

ここでの計算は、元本1円に$(1+\frac{1}{4})$をかけて新しい元本、それに$(1+\frac{1}{4})$をかけて新しい元本、…

というように、1に$(1+\frac{1}{4})$を4回かけたことになります。

よって最終の借金は$(1+\frac{1}{4})^4$になります。

一日ごとに契約する

1日ごとに再契約した場合は一年を365分割するので、最終の借金は$(1+\frac{1}{365})^365$になりますね。

複利

では複利はどうかというと、複利では元本と発生した利息、両方に対して利息をつける仕組みです。

複利では、元本と発生した利息両方に対して利息をつける。

利息が発生した瞬間からその利息に対しても利息をつけるのですが、利息は毎時間、毎分、毎秒、…常に発生するので、先程の再契約を無限に行うことになります。

ということで最終の借金は$(1+\frac{1}{\infty})^\infty=e$になりますね。

この記事の執筆者
理系さん

理系の現役京大生。
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