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統計学の罠【生存バイアス】

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突然ですが、この画像を見てください。

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戦争から帰ってきた戦闘機の調査をした結果、赤い点がついた場所に被弾が多くみられ、その部分は深く傷ついていました。この場合、戦闘機のどこを強化するべきでしょうか?

A: 赤い点がついた部分

B: 赤い点がついていない部分

アイカワさん
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普通にAの「赤い点がついた部分」じゃないんですか?傷ついてるし…

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普通はそう考えますが、実は不正解。これには『生存バイアス』というものが深く関わっています。

生存バイアスとは?

クイズ

戦争から帰ってきた戦闘機の調査をした結果、赤い点がついた場所に被弾が多くみられ、その部分は深く傷ついていました。この場合、戦闘機のどこを強化するべきでしょうか?

A: 赤い点がついた部分

B: 赤い点がついていない部分

この問題、答えはBの「被弾していない部分」なんです。

からくりは問題文の「戦争から帰ってきた戦闘機の調査」というところにあります。

そう、この統計はあくまで「生還した戦闘機」にのみ行ったものになります。

これは生還した戦闘機はプロペラの部分や先端を被弾していないと言い換えることができます。

つまりプロペラや先端を被弾した戦闘機は帰って来れなかったんです。よって強化すべきは赤い点がついていないところということになります。

このように、生存したサンプルからの情報のみで判断してしまい、結果に該当しない物・事が見えなくなることを生存バイアスと言います。

生存バイアスの原因

生存バイアスの原因は単に「サンプルの偏り」にあります。

もっと簡単な例を出すと、「男女合わせた日本人の身長の調査」で男性100人のサンプルを取ってきて、「日本人の平均身長は170cmだ!」と判断するようなものです。

(男女合わせた日本人の平均身長は164cmくらいです。)

このように、サンプルの偏りによって結果が歪んでしまうことを一般的に選択バイアスと言います。

つまり生存バイアスは選択バイアスの一種ということですね。

生存バイアスの悪用

生存バイアスは統計学において結果を狂わせる存在ですが、性質を理解すれば上手く使うことも可能です。

例えば化粧品のCM、「使った人のうち98%が効果を実感!!」なんて言ってますね。そりゃあそうでしょうとも。そのアンケートはおそらく「最後まで使用した」ような人を対象に行っているでしょうから。

「最後まで使用した人」は十中八九、「効果を実感した人」なのですから、

「使った人のうち98%が効果を実感!!」

=「最後まで使った人のうち98%が効果を実感!!」

=「効果を実感した人のうち98%が効果を実感!!」

と言っているようなもんです。笑(もちろん中には本当に有能な商品もありますが)

日常でも起こる生存バイアス

生存バイアスは何も統計学だけでなく日常でもあこりえます。

ひとは大体の場合、かなり偏ったコミュニティの中で生活しているからです。

例えば進学校の生徒は「なんで皆はできるのに自分だけできないんだろう」と落ち込んでしまうことがよくありますが、これも生存バイアスによるものです。

その「できる皆」というのはおそらく「進学校の難関入試をクリアした勉強ができる皆」でしょう。

これは 仕事などでも同じことが言えると思います。狭い限られたコミュニティの中で判断するのではなく、時には客観的に自分の頑張りを振り返ることも大切なのかもしれませんね。

この記事の執筆者
理系さん

理系の現役京大生。
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