
歌上手くなりてぇ~、カラオケとかでもなかなか90点がだせないんですよねー。

それは、「倍音」が少ないからですね。

もっと二倍くらい声出せってことですか…?

違います( ˙-˙ )
倍音とは
我々は声帯を振動させることで声を出し歌を歌うわけですが、例えばドの音を出したとき、鳴っているのはドの音だけじゃないんです。
実はドの音を出したときというのは、合わせてもう一つ高いドや、ソ、ミなどの音が同時に鳴っています。これが倍音です。人間(特に日本人)はここに感動します。
人の声には出したいと思う音(基音)の他にも違う高さの音(倍音)が鳴っている。
倍音には「整数次倍音」と「非整数次倍音」の二種類があり、今回紹介するのはこの「整数次倍音」を使った歌い方です。
整数次倍音
まずはギターの弦を考えてみましょう。ギターの第5弦を弾くと弦が振動してラの音がなります。

しかし、この振動の中には、次のような二倍振動、三倍振動と呼ばれる振動も重なることになります。(四倍振動以降ももちろんあります。)

二倍振動は周波数が二倍(波長は$\frac{1}{2}$倍)、三倍振動は周波数が三倍(波長は$\frac{1}{3}$倍)です。
周波数とは一秒間に振動する回数のことで、単位はHz(ヘルツ)。
周波数が高いと高い音、低いと低い音になります。
なので基音がラ(110Hz)だった場合は二倍振動では一つ高いラ(220Hz)、三倍振動ではミ(330Hz)の音が重なることになります。
これが倍音の仕組みです。
倍音を出すには
倍音を出すには、ズバリ「共鳴」が重要になります。
先程解説した倍音はもちろん管楽器でも起こります。管楽器は弦とは違い、片方が空いていますのでこのような振動になります。

波長、周波数、音速
ただ、管の長さによって共鳴できる音の高さは変わります。次の式を見て下さい。
$$v \frac{1}{f}=\lambda$$
ここで$v$は音速(約330m/秒)、$f$は周波数(一秒で振動する回数)、$\lambda$は波長(波一つ分「~」の長さ)です。
難しい式の用に感じますが、実は超簡単。要は小学校で習う(速さ)×(時間)=(距離)の式です。
つまり音の速さが$v$、一回振動するのにかかる時間が$\frac{1}{f}$、一回の振動で進める距離が$\lambda$ということです。
(音の速さ)×(一回振動するのにかかる時間)=(一回の振動で進める距離)
$f$は一秒で振動する回数。
つまり1秒で$f$回振動するので、1回振動するのに$\frac{1}{f}$秒ということになります。
共鳴できる音の高さ
図を見てわかる通り共鳴できるのは波長が管の長さとマッチしているときだけです。
つまり出した音の波長$\lambda$は管の長さ$l$ちょうど4倍でなければ共鳴できません。

つまり共鳴するには$\lambda =4l$である必要があり、これを先程の$v \frac{1}{f}=\lambda$に代入すると
$$v \frac{1}{f}=4l$$
両辺を4で割り、右辺と左辺を入れ換えると
例えば高いラ(880Hz)の音を共鳴させたかったら音速330m/秒を用いて
$$l=\frac{330}{4\cdot 880}=0.09375$$
つまり0.09375m=9.3cmほどの長さの管を用意すればきれいに共鳴させることができます。
リコーダーが全くこの仕組ですね。リコーダーでは穴を塞ぐ事によって管の長さを調節し演奏しています。
倍音の出し方
人間もこれと同じことをすればいいわけです。人間には咽頭腔・口腔・鼻腔といった空間が多く存在するので、この空間を変化させて声を共鳴させてやれば倍音の多く含んだきれいな歌声が出せるというわけです。
咽頭腔・口腔・鼻腔のコントロールはもちろん計算ではなく訓練により獲得しましょう。理系の計算なんて机上の空論です。
まとめ
このテクニックは歌だけでなくカリスマ性にも使えます。
人間は20kHz以上の音、つまり人間の耳では聞き取れない高周波数の音を合わせて聞くと、α波や脳内物質が出て、気持ち良くなってくるということが証明されています。
カリスマ性のある人の声にはたいてい倍音が多く含まれています。
また、今回は基音を共鳴させることを紹介しましたが、倍音も共鳴させることができるので正しくは
$$l= \frac{2n-1}{4f}v$$
(nは整数)
の管の長さで共鳴することができます。
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