
勉強において大切な指標となる「偏差値」。よく耳にする言葉かと思いますが、何を表す数字なのかは知らない人がほとんどなのではないでしょうか?今回はそんな偏差値について解説していきます。
点数のすごさ
例えば5人が数学と国語のテストを受けたとします。

両方平均は60点と同じですが、数学で1位の100点の人と国語で1位の100点の人、どちらのほうがすごいと言えるでしょうか?
大体の人は数学の100点がすごいと答えます。
それは国語ではみんなバラバラの点数を取っていて、80点・90点もいる中での100点、それに対して数学では2位から5位がほとんど平均点くらいの点数なのに一人だけ突出して100点だからです。
つまり、点数の凄さを正しく評価するには「平均点」と「自分の点数」に加えて、「点数のバラけ具合」、つまり「皆が平均からどれくらい離れているか」ということが重要になってきます。
皆が平均からどれくらい離れているか
偏差
「皆が平均からどれくらい離れているか」という数値を出すために「各人が平均からどれくらい離れているか」と言う数値を出します。

例えば数学5位の40点なら平均が60点なので-20ですね。
この「各人が平均からどれくらい離れているか」という数字をそれぞれの点数の「偏差」といいます。
偏差の平均?
では、「皆が平均からどれくらい離れているか」を計算したかったら、この5つの偏差を平均すればいいのかと思いますが、ここで問題点が一つ。「偏差は平均すると必ず0になる」という性質を持ちます。確かに
$$\frac{1}{5}\{(-20)+(-10)+(-10)+(0)+(40)\}=0$$
ですね。
この原因はマイナスの数が含まれているからです。
二乗してから平均を取る
では、マイナスの数をプラスにするために偏差を二乗します。

この状態で平均を取ることで440という0ではない数字を得ることができました。
(この440は「分散」といい、どれくらいデータにバラつきがあるかという指標になります。)
標準偏差
分散では二乗した状態なので、元に戻すために440の平方根(ルート)を取ってあげると20.98という数値になります。これが今回の目標である「皆が平均からどれくらい離れているか」という数値で「標準偏差」といいます。
(求めたものは偏差を二乗して平均してルートで戻した「偏差の平均もどき」なので「標準偏差」という名前になっています。)
偏差値
偏差値の本質
これで準備は完了です。標準偏差(=皆が平均からどれくらい離れているか)という数値が20.98ということがわかりました。
これはつまり、皆だいたい平均60点から±20.98点くらいの点数であることを表しています。

数学100点の凄さは「皆は平均から±20.98点だけど、この点数は平均から+40点も取っていること。」
ここを評価したものが偏差値になります。計算は40を20.98で割るだけ。つまり偏差値は1.90となります。
実際の偏差値

いやいや、偏差値1.9なんて聞いたこと無いけど?
それもそのはず、実際の偏差値はこの値を10倍して+50したものになり、今回だと偏差値は69ということになります。
なぜこんなことをするのかというと理由は簡単、見やすいから。
つまりこの10倍して+50という操作は数学的になんの意味もなく、実際のところ、偏差値の本質の値は1.9ということになります。
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